中性色の服ばかり着ている

タイプミスしたら即終了

230118 文学フリマ京都7で買った本

やめられません勝つまでは
パチンコは、当日お手伝いしたサークルのヌシでもある作者に連れて行ってもらって1度だけ打ったことがある。確か化物語のやつだったと思う。アニメを見ているのともPVを見ているのとも違う不思議な感じだったし、自分がパチンコをプレイしているといえるのかどうかもよく分からなくて、それはそれで面白い時間だった。この作品は当然その先の、ちゃんとパチンコをプレイしている人のエッセイ集だ。役物という、やらない人からしたらそんな名前があることさえ知らないパーツ一つにも、歴史とそこに付随する多くの感情があるんだと知れて面白かった。なので勝った負けたの本も出してな。よろしく。(私信)

ウィアードコア私論
世界の切れ目に生じる奇妙さについて
カタログで見つけてずっと気になっていた。ウィアードコアという概念についてほとんど知らないし、ここ数年ポコポコと現れているヴェイパーウェイヴやリミナルスペースといったジャンルとの関係性もよくわかっていないのだが、非常に興味深く楽しめた。本自体のデザインも無駄がなくすきっとしていてかっこいい。記憶を直接刺激する要素があるわけではなくとも、曖昧な集団的意識が同時代を生きた一人一人の中で再構築されることで帰属意識となり、ウィアードコアを一つのジャンルたらしめているという記述を読み、そんなこと考えたこともなかったのではっとした。俺がアンビエントとかこういうモワモワしたノスタルジーを感じさせるジャンルに惹かれるのも、幼い頃から承認に飢え、「共有」に乏しい子供時代を送ってきたことの裏返しなのだろうか。

文章でめし食って9年
仕事で「書く」と趣味で「書く」のはざまで
文章を書く仕事って実際どうなの? とずっと気になっていたので、たまたまお見かけして迷わず買った2冊。読んでいくと、ライターとして生計を立てるまでに波乱万丈の人生を送ってきた方ということがわかり、小さい頃に読んだ「13歳のハローワーク」の「作家」の項に書いてあった、作家ははじめから目指してなるものではなく色々な経験をしてから最終的にたどり着く職業である、といった内容の文章を思い出した。ずいぶん古いあいまいな記憶だし、作家とライターはあくまで別物であるということもこの2冊のZINEを読んで分かったつもりにはなったけど、やっぱりなんか、選ばれる人とそうでない人の差は最終的に経験というところに出てくるよな、と思った。嬉しい経験だけでなくシビアなことも飾り気のない文章で綴られていて心地よいほどだった。小説をふたたび書き初めてからのライター業に対する考え方の変化のところなど、参考にするというよりは純粋にドキュメンタリーとして楽しんで読んだ。買ってよかったです。

東京一人酒日記
東京一人酒日記2
お隣のサークルの本が酒を題材にしたものだったので、これも迷わず購入した。
バーや居酒屋なんかで、店員とか他の知らない客と自然に会話ができる人というのはすごく遠い存在に感じていたし、そういう人がお店で飲む酒と俺が部屋で一人で飲んでる酒は同じ酒というカテゴリではあっても全く別物であると思っていた。しかし、当然ながらそういう光の中にいる人たちにも葛藤や日常のささいな引っ掛かりはあるんだということが文フリで買った本を読んでるとよく分かって恥ずかしくなる。このシリーズは一人酒がテーマではあるけれど常に人の気配がある。「一人になりたい」と「人とつながりたい」は表裏一体であるとこの本の1の方でも書いてあり、それは希望であると同時に危機でもあるなあ。人と言葉を交わし、つながるということはとてもむずかしい。瞬発力が求められるリアルの会話と違い、時間をかけて思考の細かな部分まですくい上げることができる文章に、だから救われた気になるんだろう。俺はリアルでは今のところ誰ともうまく話せないし相手にもされてないけど、コミュニケーション手段が文章しかない世界だったらもうちょっとうまくやれてたんじゃないかと思う。書いてて泣けてきた。酔ってるからかな。

環境と対話 vol.2
環境問題についての対話を通じて生まれた作品集。収録されたエッセイの「回復を越えて:躍動する生命に至る思考」には特に興味を惹かれた。タイトル通り、回復ということについて、自身の経験を辿りながら綴られていく作品で、まるでロードムービーのようだと初読時は感じたのだがいかんせんアカデミックな文章に慣れていないので難しいところも多く、何度も読み返している。この本全体を通じて、地球環境と、単に身の回りの状況という意味の環境という言葉ははっきり分かたれるものではないと、月並みな感想だがそう感じた。