中性色の服ばかり着ている

タイプミスしたら即終了

230212 触るための立方体

お題「自分にとっての「ライナスの毛布」」 

ライナスの毛布とは少し違うかもしれないんだけど、手持ち無沙汰なときに弄り回せるもの、そして映画インセプションに出てくるトーテム(自分が夢を見ているのかそうでないのか判別するために携帯するアイテム)のような、うまく言えないけどとりあえず俺はこれを持っておけばOKなものが急に欲しくなって去年買った。これは何かと言うと、1辺3センチ弱の木の立方体です。厳密になんていう木なのかとか商品名も全然覚えてない。説明も特徴もなにもない。相当安かったのは覚えてる。ホムセンのDIYコーナーとかがある床の色が違うゾーンの隅にあった。あのデカイ木材とか土とか売ってるゾーンって何を買うわけではないけど見てるだけで楽しい。文フリの準備するときに何か使えるものがないかなと思って行ったときも楽しかった。で、その隅のところにこういう小さい木のパーツが色々売ってる棚があった。ボンドでくっつけたりとかして装飾として使うものとして売られてるんでしょうかね。丸とか三角とか他にもいろんな形があったけれど、俺ならやっぱ四角だよなと買う前から決めていた。キューブ。フェチズムと言っていいのかわからないけど、立方体という形に妙に惹かれる。この理由を正確に言語化することはできないのだろうが、なんとなく軽そうに感じるフォルムと適度な鋭さが関係していると思う。幼い頃、キュービィロップという立方体の小さい飴が好きだった。今も好きだけど。奥歯にガチンとして平たい面を感じたり、歯の隙間でエッジの尖り具合を楽しんだりする。目でも口でも楽しいので、きっと手にも一番しっくり来るだろうと思い立方体を買ったのだった。

のだが、買って満足してしまい、最近まであまり触っていなかった。買ってから気づいたが、パソコン触ったり本読んだり、何かに集中しているときは両手がふさがっているし、手持ち無沙汰な瞬間というのは思ったより少ない。ダンボールの適当な隙間に放り込んで、実家からここまで一応持ってはきたけど、本でも文具でも衣類でもない、何のカテゴリにも収まらないこのアイテムをどこにしまったものか決めもせずになんとなく床に転がしたままにしていて、数日前ふと思い出して触ってみた。
触っていると、やっぱりしっくり来るサイズ感と質感だ。面によって触り心地が違う。木目に沿った面はツルツルで、そうでない面はザラザラしているのだが、自然物なのでそのザラザラ具合や目で見てわかる木目の模様も均一ではなく、面ごとに全然違う。鼻を近づけてめちゃくちゃ頑張って嗅ぐと、ウッディというよりおしろいみたいな匂いがほんの少しだけする。舐めるのは今日はやめておくが、味もなさそうな気がする。眠る前、目を閉じて両手でこれを触りながら、頭の中でこれの色を赤くしたり青くしたり光らせてみたりした。思えば、小さい頃からそんな空想はしてた気がする。今自分が寝ている布団の範囲だけが平面で、周りは海や砂地や高所だとよく想像していた。目を瞑っている限り全てが起こりうる。寝る前にダラダラ掲示板とか見てないで、童心に戻って想像力を鍛え直すいいトレーニングになるかもしれない。あと、実用性でなくただそれを所持することが目的のアイテムがインベントリにある状態に不思議な満足を感じる。
そういえば、トーテムって選ぶの難しすぎない? ってインセプション最初に見た時からずっと思ってる。主人公のコブが持っているトーテムは小さいシンプルな独楽で、いつまでも回り続ければ夢、倒れれば現実という明確な判断基準があったが、そんなわかりやすいアイテム他にいくつもなくない? ハンドスピナーでも持ち歩けばいいのか?なんて思っていたが、それこそ夢エアプの素人の感想なのかもしれない。ずっと触っている身近なものであればあるほど分かる違いというものがあるのではないか。じゃあこうだ。この立方体を触って、全ての面が同じくらいツルツルしてたら夢、微妙な違いが分かったら現実だ。結構いいんじゃない? 今日から正式にこの立方体が俺のトーテムです。トーテム持ってる人って他にもいるのかな。人のトーテム見たいな。