221130 コーヒーの話

ふるさと納税で頼んだコーヒーセットが届いた。


早くみんなに自慢したくて、汚い机上から物を追い出して一丁前に写真を撮った。生活の質を向上させたいとか特にこだわりがあるというわけではないが、単に口寂しいのとコーヒーが好きでガブガブ飲みたいので一式欲しいと思っていたのだ。写真には写っていないがコーヒーフィルターと簡単な淹れ方マニュアルもついており、すぐにコーヒーが淹れられる心強い仲間がバッチリ揃っている。ふるさと納税ははじめてで、正直これが特産なのかどうかもよくわからないが、とりあえずプロが選定した一式がまとめて手元に届くという利便性を優先した俺のチョイス、なかなか悪くないぜ。ふん。そう笑みを押し殺しながら、カップとコーヒーサーバーをしっかりと温め、ずしりと重いパックのひとつを手に取った。さあ、いよいよ待ちに待ったファーストコーヒーを開封するぞ!!

豆だ。
袋に入っていたのは一切挽かれていないつやつやの豆であった。

一瞬だったが、そのときの俺の顔はマジで傑作だったと思う。ショックを受けつつも何も感じてませんがという顔をしてひとりそそくさと袋を閉める俺の滑稽な姿を見てほしかった。
いやいや。淹れれないじゃん。肉や果物やカニではなくわざわざこのセットを選ぶ奴の家にコーヒーミルはないのよ。
そう文句の一つも言いたくなったが、悪いのはよく読みもせず粉で届くと思い込んでいた俺の方である。でもさー事前にマニュアルに目を通したけど豆を挽く工程のこと一切書いてなかったからてっきり……そりゃさぁ……だって……とか色々言いたいことはあるのだが要するに、その一瞬で世界が180度変わったのが我ながら面白かったんです。
なにはともあれ、貴重な豆を一瞬でも空気に触れさせてしまった以上あまりちんたらもしていられない。早速ミルを買いに行こう。一応調理器具というカテゴリではあるのだろうが、あまりにも用途が限定されたそいつがちょうど買える店の正解がどこなのか分からず、結局この世の全てが揃っているロフトに向かうことにした。電車の中で調べてはじめて知ったが、コーヒーミルはあまり価格帯が広くないというか、いくつかの主流商品がシェアの多くを占めているようで、念のためにカルディとか知らん雑貨屋とかも行ったけど扱われているラインナップはどこもほぼ同じだった。安さだけで選べばダイソーでも500円くらいで売っているらしい。その上がいきなり3000円台のスタンダードなやつ。その上までいくとなんか重厚な木でできたインテリアみたいなやつになってくる。俺は結局ロフトでスタンダードなやつを買った。松竹梅の選択肢があるとブツブツ言いながらも竹を選んでしまう消費者は俺だけではないと信じたい。
購入したミルを軽く水洗い(これがまた面倒くさくて…………………………)し、いよいよ豆を入れてゴォリガーリを開始する。

今気づいたけど、この回に出てくるやつ多分俺が買ったのとまったく同じだな。
現実のゴォリガーリはこんなにかわいくはない。肉体と精神の両方を酷使しながら、孤独と向き合う時間だ。やけに長く感じるこの時間は俺の人生における何なのだろう?と真剣に考えた。これよりさらにでかいミルを買うようなコーヒーガチ勢はこの時間に何を考えているのか気になる。この時間を利用して電子辞書に入ってるラジオ英会話を真面目に聞いてみようかなと、やっとのことで淹れられる状態になった1杯分の豆を見て思うのだった。3袋もある豆たちを飲み尽くすにはまだまだ時間がかかりそうだ。

これまでのブログ内容も全体的にそうだが、こんなくだらないことに一喜一憂して何が楽しいんだこいつと感じている方もいると思う。俺も正直ここまで大げさにブログに書くことではないんじゃないかと思っている。ただ、「何すか?」とでも言いたげに一斉にこちらを見た豆たちの顔、豆を挽く工程のしんどさ、そしてすべてを乗り越えて口にしたコーヒーの香りと味わいは俺にとって本当にリアルな感動だったのだ。