中性色の服ばかり着ている

タイプミスしたら即終了

221024 コーヒーをほじる

今日マジでダルかった仕事はビンの中で固まった古いインスタントコーヒーをほじって捨てる作業だ。白骨化したインスタントコーヒーをご覧になったことがあるだろうか? 粉の塊が白いカビに覆われて乾いてカチカチになって、腐った肉や植物とはまた違った哀愁を帯びている。
ビンに入っていた透明のスプーンで少しずつほじって捨てていく。固まっているのがボロボロと崩れてくれれば楽なものを、無駄にしっかりと瓶にくっついているのが面倒だ。最初は香ばしい香りを放っていたのであろうそれの、いやに酸っぱい間延びした匂いが給湯室に広がる。残っていた量は5分の1ほどではあったが、俺の手はすぐ肘あたりまで茶色くなった。土遊びをしたときみたいだ。実際、全部片付いたあと手を洗って爪を嗅いだら、完全に土の匂いではないものの有機的でちょっと疲れる匂いがした。
思ったより時間がかかり、俺はいったい仕事中に何をしているんだろうとふと感じた。こういうことはよくある。シュレッダーにかける大量の書類の山からクリップをチマチマ外してるときとか。エントロピーが増加するのが嫌というか、俺のところに来た段階でより正しい方向に分別できるはずのものをそうしないまま先の段階に送ってしまうということが我慢ならない。でも俺がエコ厨なのを抜きにしてもインスタントコーヒーのビンをそのまま燃えるゴミの袋に捨てるのは常識的に違うだろ? 違くないですか?
ほぼ全てほじり終わり、最後にお湯を入れてすすいでいると、最強に濃いコーヒーを目指してインスタントコーヒーに直接お湯を入れて飲むという番組だったか記事だったかを見たことがあるのを思い出したが、今調べてもそれらしきものは出てこなかった。あるいは同じことをしている人が多すぎて出てこないのかもしれない。

帰りの電車で黒いチョウ? ガ? がいて俺の乗っていた車両が少しざわざわした。俺もざわざわした。みんなと同じ社会で地に足をつけて生きているという感覚が得られるのマジでこういうときしかない。