中性色の服ばかり着ている

タイプミスしたら即終了

221229 ヘリコプター入浴

今日はめちゃくちゃ寝ていた。寝正月をフルスロットルで開始してしまった。俺もこんなつもりではなかった。もっとなんか色々やろうと思ってたことはあったはずだったのだが、寒さというやつは人間の全ての営みを停滞させる。暖房つけろよって話なんだけど、暖房をつけるとそれはそれで頭がポワポワして何も集中できなくなってしまう。すごいな。何で生きてんだコイツ?

と書いておいてあれだが、昼寝三昧の一日が俺にとって完全に無駄だったわけではない。それは明晰夢を見れたからだ。夜(つまり自分にとってのデフォルト睡眠時間)でない時間帯に寝ると、明晰夢を見られる期待値がグンと上がる。もちろんいくら粘っても見れない日は見れないのだが今日はたまたま疲労とか空腹とかのパラメータが噛み合ったようだ。故意に睡眠のリズムを崩すのは当然体には悪いだろうし医者に言ったら絶対怒られるのだろうが、明晰夢のメカニズムについて研究するのは俺にとって数少ないライフワークの一つかもしれない。
今日見たのはヘリコプターに乗って雪景色の中を滑空する夢だ。飛ぶ夢いいよね。現実ではできないことがやりたい放題な夢のラインナップの中でも、空を飛ぶ夢は花形だと思う。高低差の激しい雪山の稜線にそって、ジェットコースターさながらの勢いで飛び回るのはスリル満点だ。急に深い崖が現れて、落ちる~~~! 死ぬ~~~~! と思っても死なないのが夢のいいところだ。脳内のAIが作ったとしか言いようがない歪な世界を落ちながらも、死なないスレスレのラインを見つけてまた飛行を続ける。これ言葉だと説明が難しいな。操作できない夢だと落ちるのは恐怖でしかないが、明晰夢を何度も見ることでだんだんと自分の望むラインに近づけることができるのだ。
空は飽きたので水にも入ることにした。ヘリコプターに乗ったまま海なのかなんなのか分からない大量の水の中に入る。操縦席に座ったまま機内が水に満たされていくのを感じる。ほどよい浮遊感と圧迫感があって、現実でお風呂に浸かってるときより気持ちいいのだ。リラックスして座った状態の(現実の俺は横になってるのに何でこう認識できるんだろうな)俺の周りのちょうど一人分の空間がいい温度の水で満たされて、それでいて夢なので呼吸はできるのがとても快適で、窓があるから変な閉塞感もなく水面に映える光を眺めることができて、現実にもこういう施設を作ったらいいんじゃないかと思ったほどだ。いつも不思議なのが、水は当然触ったことがあるからわかるんだけど、乗ったことのないヘリコプターの座席の感触とか閉じた空間の空気感(と俺が想像するもの)もすごくリアルに五感を通じて感じられることだ。脳ってすげーと思うし、行き過ぎると本当にヤバいことになるんじゃないかとも思う。これも脳内のAIと俺が呼んでいるもののなせる技だ。脳内のAIって言い方は絶対おかしいが一番これが直感的に近い。ツイッターでみんなが絵や小説を書いてくれるAIを研究してるように、俺も脳内のAIを研究しているのだ。それで最終的に一切不満のない完全な理想の世界ができて30年くらいそこにいられたらインセプションみたいでいいですね。年末にやることがない方はぜひヘリコプター入浴お試しください。

221227 城となりうる場所

仕事納めだった。驚くほどなにもない一日だった。時間がないからと昼飯をどん兵衛だけで済ませたら2時間ぐらいでお腹ぺこぺこになってしまい、そういえばちいかわコラボの限定シロノワール食べてみたいなと思い立って仕事帰りにコメダに向かいかけたのだが、いや、今俺スイーツの口になってるか? 今食っちゃったら晩飯入らないよな? とか色々考えて結局やめた。このようにして胃袋との折衝に失敗し続けている。シロノワールを食べる最適のタイミングって存在するのか?

サイドボタン付きのマイマウスを職場に持っていったときの気付き
・多分どこもそうだろうが弊社のPCは情報漏洩防止のためにUSBメモリ等の外部媒体を認識しないようになっている。けどサイドボタンは普通に設定できたし使えた。よかったけど、どういう仕組みなのか気になる。
・短い間隔でマウスボタンとサイドボタンを交互に押しまくっていると結構"腱"に来る。
・家で使っているときは気づかなかったが、親指のところがめちゃくちゃ汚かった。気づきたくなかった。見慣れたものを違う環境に持っていくと改めてその汚さに気づいてビビることがよくある。毎日手を触れるアイテムは白を選ばない方がいいみたいだ。
・マウスホイールを使うときの音が意外とうるさい。家で使ってる時はほぼイヤホンしてることもあって全然気づかなかった。こういうの気づいちゃうと、近隣の部屋の人に音とか匂いとかで迷惑がられてないかなと思って余計神経質になってしまう。夜にドライヤーをかけるときとかもめちゃくちゃ気を遣っている。この気になりから解放されるためには究極的には孤立した一軒家に住むしかないが、それはそれでイヤなんだよな。自分のエリアが1階にまで及んでるっていうのがイヤ。虫とか入ってくるし。こう高床式になってて家自体が2階から始まってるならまあ良いかな。それか船か空中要塞。それはそれで住み出したら文句言いまくるだろうな。引っ越す金もないのに夢物語ばっか書いてて詮無いな。やっぱ俺にはアパートが一番似合ってる。最近気づいたが寝室とトイレと風呂の距離が近いとめちゃくちゃ効率がいい。実家のころよりちゃんと掃除するようになったし、俺は俺なりにこの領域を城として自分にとって最適化していると思う。そういえば実家にいたころは引っ越す夢や、ホテルや旅館もしくは人の家に泊まる夢を頻繁に見ていて、俺はそれを早くここから出たいという願望の現れだと考えていたのだが、引っ越しを終えた今でもたまに見る。城の完成はまだまだ遠いということか。

221225 真人間への道

こんなブログ名なのにファッションや身だしなみの話を全くしないのは、今までの人生でそういった知識に一切重きを置いて来なかったからだ。しかしいつまでもそうしているわけにもいかないと思い、奮発してトータル診断とメイクレッスンを受けてきた。

16タイプパーソナルカラー診断


あ、これ以外画像はありません。
4タイプの診断は一度受けたことがあるので今回はセカンドオピニオンでもある。前回と同じくサマーで安心した。のだが、自分はサマーの中でもクールという小分類に属しており、クールはくすんだ色は全然似合わないらしい。前回の診断を受けて「青系のくすんだ色買えばいいのね、おkおk」と思ってくすんだ服ばかり買っていたのでショックだった。まあ気長に買い揃えていこう。

骨格診断

今回受けたのは顔の形や体型をトータルで診断するものだ。パーソナルカラーと同じようにタイプごとに名前がついているそうなのだが、厳密に言えるようなものではないのでこのサロンでは種類を特定するというよりはパーツごとに何が似合うかを優先すると言ってくれて、私はそのスタンスに好感を持った。必ずしも0か1かに分けられるわけではない、何事も……。似合うアクセサリーや柄の大小まで実物を合わせて見せてくれて、アクセサリーも全くつけないので新鮮だった。俺はとにかくゆるっとしてて着やすくて過ごしやすいラフな服をできるだけ着ていたいのだが、どうもそういうのは似合わないらしい。人生か?

メイクレッスン

人にメイクされた顔を見ると一瞬「ギャグ?」と思ってしまう。でも慣れてから見るとちゃんと成り立っているから不思議だ。この一瞬の戸惑いがあるうちは自分でまともにメイクできないかもしれないと思うと気が遠くなる。何より手元にモノがない。今回先生が使ってくれたのはどれも高価なもので、買っちゃえば5、6年は使えるよって先生言ってたけどいきなりデパートのコスメ売り場に飛び込んで5K(まっとうに社会に適合してメイクをしているような人はまずこういう表記もしない)のシュウウエムラのリキッドファンデ買える気がしない。このブログに似合わないブランド名のカタカナの文字列を打ち込むだけでムズムズする。マツキヨで売ってるものしか買いたくない。

肌のトラブルは特にないと思っていたのだが先生によればだいぶ乾燥していてヤバいらしい。早速薬局でフェイスパックを買ってきた。今年の予定らしい予定はこれで終わりだが、これまでの人生に欠けていたものを取り戻す旅はまだまだ続く。みんな、矜子が真人間になるところ見ててくれよな。って書こうと思ってたんだけど、本当にすべてのピースがはまって真人間になってしまったらそれはそれで虚しさ感じるのかもな、と皮算用しながら帰った。

色々学んだのだが、何より5時間ずっと人と話したことが筋トレになったかもしれない。先生がすごく気さくな人で色々人生の話もしてくれて、俺もそろそろ背筋を伸ばしてみるかという気持ちになった。

221221 健康診断と夜の郵便局

健康診断に行ってきた。少しでも違う経験をしたくて毎年別の病院を予約するんだけど目新しいことって驚くほど無い。すぐ分かるヤバい不調も無かったっぽい、ばんざーい。あ、今年行ったところはめちゃくちゃきれいだったかも。でも毎年そう思ってる気もする。あとスマホを持ち込まないと待ち時間が暇すぎることを毎年忘れる。ロッカーの中でワーフリを起動してオートで連戦放置してたら一戦目で負けたらしくスタミナがダボダボに余っていた。

仕事で夜間までやってる郵便局に行った(行かされた)。夜遅くの、しかも年末の郵便局というのは独特な空間だ。郵便の夜間受付はゆうゆう窓口のみとサイトに書いてあるのだが着いてみるとゆうゆう窓口以外の窓口も全て空いていて、番号札の番号を大声で呼びかけながら(この、半ば怒鳴ってるレベルのハリのある声を男性も女性も持っているのは近畿特有かもしれない)テキパキと客を捌いていく。年賀状の投函専用の、ポストって感じの見た目でもないデカい箱があって、ときおりスタッフと思われるジャケットを着たままの人が何かを突っ込んでまた足早に出て行く。大学生くらいの二人連れの女の子がいた他にはみんな一人だった。女の子の一人が窓口に呼ばれ、スタッフと何か話した後、窓口に行かずに同じ場所で待っていた連れを振り返ってその場所から何かを確認した。その後はつつがなく手続きが終わったようで二人は帰っていった。大学生くらいの女の子が二人で出しに来る今日中に出さなければならない郵便物とはなんなんだろうと考えた。最初に浮かんだのは何らかの資格の申請書類だけど、今時はたいていWebで申請できるよな。そういえば、引っ越しの書類は記録が残る郵便じゃないとダメだったな。それを出しに来たのだとしたら二人はこれから一緒に住むのだろうか、それともどちらかが見送る側なのだろうか。呼ばれるのを待つ間そんなことを妄想していたが、考えれば考えるほど自分の知識と想像力の乏しさが明確になって悲しくなるだけで生産性のない営みであった。
俺の番が来た。大量だったので、機械で数えますので隣の部屋で待っててくださいと言われて扉一つ隔てた奥の待合室に入った。受付のカウンターは隣と繋がっていて椅子とかの雰囲気も同じで、ただただ誰もいなかった。あの空間何? 社会経験の乏しい俺には想像もつかないほどいろいろな目的の郵便物が全国を飛び交っているんだろうな、と積み重ねられたコンテナを見て思った。
数はピッタリ合っていて、無事手続きも終わって再び夜の街を歩いて戻った。勤務時間中に外に出られる時間って知ってる場所でもなんかワクワクする。その分、職場が近づいてくるほどに現実に戻ってきた感が増してきて寂しくもなる。

今日は珍しくオチも結論もない回でしたね。いつもそうか? まあこういう純粋なスケッチもきっと少しは創作の糧になることだろう。なるといいな。

221219 買ってよかったもの2022

今年は引っ越しをしたこともあり色々なものを買った。そのなかでも、なるべく「コイツつまんねぇ奴だな」と思われなさそうなものを選んで紹介します。

ワールドフリッパー キノのマグカップ(2.5周年限定グッズ)

ゆるい。かわいい。かわいすぎて使えない。何がかわいいかちゃんと分かってるんだよ。分かってるのにワーフリは全然グッズを出してくれない。出ても基本的に限定なのですぐに買わないといけない。先月の3周年グッズ販売ではシーリングスタンプを買った。来年届く。シーリングスタンプ売ってる場合か? ワーフリより若いゲームでもバンバングッズ出してるこの世の中、使いまわしイラストのしょぼいクリアファイルや缶バッジの1つや2つくらい常時販売になりませんか? とアニメイトに入って何も買わずに出るたびに思う。

うめともものふつうの暮らし(電子版)

storia.takeshobo.co.jp

既刊5巻。かわいさと優しさが溢れている。現代人の疲れた心に沁みる、なんて売り文句はもう手垢がついているけれどこの作品は本当に嫌味のない優しさに満ちていて、読んでいると、無垢でかわいいものを守りたいと感じる人間性を取り戻すことができる。スタンプも使いやすいし地味に隙のない作品だと思う。紙版も買わないとなー。

OMORI(DL版)

store.steampowered.com

ドットもイラストもかわいいRPG。この作品を本当に余すところなく語るなら1記事や2記事では足りない。絵柄ストーリー音楽キャラクター全てが俺のド真ん中だったし、何を書いてもネタバレになるがラストは人生で一番泣いた。オタク特有の誇張表現かと思われるかもしれないが、物語に触れて泣くという経験の中では間違いなく一番泣いたと思う。クリアして数日は思い出すだけで泣けた。ただプレイヤーを泣かせたるぞという動機ではなく、ラストに向かうまでのあらゆる要素がキャラクターの目線に立って丁寧に描かれているからこそ、全てのピースが綺麗にハマったとき強く揺さぶられる。このまま早口で喋ってたらどんどん物語の核心について書いてしまいそうなのでもうやめます。いや、でもさー、

www.youtube.com

このPVの最後に行くにつれて少しずつ曲も映像も狂気的になっていって、テテテテテテテテテテ テ テ!!!(怒)って終わるのめちゃめちゃ興奮しません? 矜子は少しずつ狂気的になっていくPVが大好き。ヒロマリも好き。
本国で発売されたファンブックめちゃめちゃ欲しいけど円安で手が出ない。

CASIO EX-word XD-SX8500DBwww.casio.com

電子辞書を持つのははじめてだ。実際買ってみて、やっぱあると違うなと思った。人に見せる文章を書くとき、広辞苑を買うのは大変だけどソースがネットだけじゃ心もとないときには大変心強い。手書きで漢字を検索できるのも電子ならではのありがたみ。収録されてるラジオ英会話も、わざわざそれ用に有線イヤホンを買って、亀の歩みのようなペースだが一応聴いている。今のところユキチが永遠にグズグズしているが吹っ切れるときは来るのだろうか?
学生ではなく完全にビジネスマン向けのモデルというのはあまり需要がないのか、多分店頭だともう買えない。これはマジでもうちょっと普及しててもいいと思うんだけど。高校や大学のときに電子辞書を買ってもらった人は逆に大人になってまで買わんでいいやと思うのか?

エレコム EX-G

www.elecom.co.jp親指らへんにサイドボタンが2つついてるシンプルなワイヤレスマウス。パソコン初心者なので最近知ったのだが、マウスにいっぱいボタンがついてるとべんり。最初はなんとなく手の軸が定まらなくてうまく使えなかったけど、体が慣れると効率が倍違う。割り当てるキーは、だいぶ試行錯誤した末に結局Ctrl+CとCtrl+Vの仲良しコンビに落ち着いたが、もうすでに物足りなくなってる。本当はCtrl+ZとCtrl+AとCtrl+FとCtrl+Shift+Vのボタンも欲しい。でも実際そんなマウスが手に入って慣れたらまた物足りなくなるんだろう。最終的にテンキーが側面にそのままくっついてるみたいなゲーミングのやつになるのかな。なりたいな。かっこいいな。金がないだけで新たなガジェットへの憧れはずっとある。

パスコの米粉パン

www.pasconet.co.jp

普通の食パンを買うのがなんとなく癪で、安くなってるやつとか見たことがないやつを色々買ってるうちに出会った。そのまま食べると単にもちゃもちゃしてるだけのパンだけど、オーブンであたためると外がカリッと中はもちもちになってめちゃくちゃ美味しくなる。何もつけてないのに食感だけでペロッと食べることができてしまうので危険。米粉が入ってるパンは、パンでありながら米の持つ根源的で日本的なエネルギーが得られる(ような気分になる)のでお得。

一風堂ホットもやしソース

ec-ippudo.com

うまい。楽。好きな分だけ作れるのがいい。一風堂に行ったことはない。

コロナバケツ

amzn.asia

買ったぞ!有言実行!この日記を書いてからほどなくして、モクテルに使うシロップが必要になったので思い切って一緒に買った。
どんなふうに来るのかなと思ってたら想像してたよりコンパクトなダンボール箱が届いた。長方形の真ん中にバケツがはまっている。その四隅の空間に4本、バケツの中に固定されて4本入っていて、その省スペースの工夫も妙に愛しかった。いざ取り出してみて、やたら俺の部屋という空間に馴染んでいることに驚いた。普通にゴミ箱として使ってます。他のコロナファンはどうやって使ってるんだろう。ちゃんと瓶を冷やすのに使うとしても毎日毎日というわけにはいくまい。あとコロナにささって出てくるライムってみんな中に押し込んでるけど最後あのまま瓶捨ててるの? 不可逆なものへの恐れがあるのでこの点はずっと気になってる。
ともあれ、ゴミ箱ひとつとっても、この色イマイチ好みじゃないなあ、でも安いしなあと妥協して100均やホムセンで適当なの買うよりめちゃめちゃ人生でしょ。いい買い物したわ。ありがとう俺。

来年は頑張ってSwitch買います。ではまた。

 

221217 あんしんかばん

今夜は職場の人たちと飲みに行った。いろいろなお酒を飲んで、電車の中でこれを書いている。すでに限界が近い。

この手のキャラにしては珍しく、俺は職場の飲み会が苦ではない。単にお酒が好きなのと、隅っこで酔っ払ってにこにこしていれば意外と何とかなるためだ。普段から家で一人で飲んでるけど、自分では選ばないようなお店に行けるし、運が良ければ経費のときもある。そんな俺でも一つだけ飲みの場でうーんと思うことがある。それはかばんを近くに置いておけないことだ。
俺は要領が悪いのでかばんが無駄に大きいし中もごちゃごちゃしている。そして、自分にとって必要なタイミングでそのごちゃごちゃの中をゴソゴソ探ることができるということに安心を感じている。実際には使わないとしても、それらのごちゃごちゃアイテムをオミット(これ最近俺の中で流行ってるワードね)することのほうが実用的でないと感じる。普通の人間はTPOに合わせてちっちゃいバッグに持ち替えたりするのだろうが、俺にはそれがどうも難しい。だって急に飲み物とか買うかもしれないし。スペースは多いに越したことはない。俺のかばんには未来が詰まっているのだ。

そんな感じの俺とかばんだが、飲み会に行くとその絆は容易に引き裂かれる。みんなが自分のかばんを肌身離さずぴったりと近くにつけている飲み会というのも考えてみるとない気がする。胸襟を開いてゆったりと飲み食いしながら話すためにはかばんや上着は必要ない存在なのだ。俺は近くに置いておきたいな、と思ってても、遠慮せんで置いときー、と言われて気がつくとかばんは俺の手を離れていて、だいたいどの店でもどこかしらにまとまって存在する気の利いた空きスペースか、さもなくばソファをパカっと開けた中の空間とかに吸い込まれてしまう。こうなるともうちょっとやそっとじゃ中をゴソゴソできない。飲酒する前にウコンの力顆粒(これは医学的な処置というよりは祈りや呪術に近い)を飲んでおきたいとかポケットWi-Fiの充電がどれくらいあるか確認しときたいとか、そういうごちゃごちゃした欲求の全ては他人に囲まれている状況ではヤボでしかない。そうして諦めてヘラヘラしながら酒を飲んでいるのは、楽しいけれどどこか「これは本当の経験ではないのではないか」という気がしてしまう。俺が物に縛られすぎているということだ。

上司たちは俺みたいに物に縛られてないんだなあと思う。スマホだって飲み会中は触りすらしない。純粋に仕事や酒の話をしている。飲みすぎてヤバい目に遭った武勇伝とか、仕事や付き合いでの飲酒で夜遅くなるためホテルやタクシーを頻繁に利用するという話を聞いていると、そういうのありなんだ、すごいな、とどこまでも他人事のように思う。一人の酒好きとして、酒で無茶したり失敗した武勇伝は少なければ少ないほどいいと思っているのだが、あっ……皆そんな感じなんすか? と思う。酒でしか得られない経験があるなら俺もそんなハチャメチャを経験してみたいとも思う。でもさ……あー俺はもうわからん。ただそんなハチャメチャができる大人は、アルコール分が全くなくても同じように、日頃の自分を乗り越えて、状況に応じて少しだけ羽目を外すということができるのだと思う。俺にはできない。日本人にはお酒強い族と弱い族と無理族がいて、俺は弱い族なんだけど、たとえ強い族や無理族だったとしてもきっと同じように、隅っこでヘラヘラして時々お冷やを頼んでるだけなんだろうと思う。
必ずしもそれが悪いことだとは思わない。いつも不思議なのだが、強い族の上司たちは全く水やソフトドリンクを頼まないがあれで平気なのだろうか? 俺は平気じゃないので何度もお冷やを頼む。それは決して恥ずかしいことではない。できないことはしない。

店を出て、夜風うめーと思いながら駅に向かうほんの数分の道中に、俺と同じようにフラフラしてる奴らがたくさんいて、なんか楽しそうにわめいてる声が聞こえる。それを感じるたびにやっぱりどこか他人事のように感じてしまう。俺が家で酒を飲んで一人でニコニコしている夜と、誰かが誰かと外で酒を飲んではしゃいでいる夜とは、確かに同じ世界で地続きに存在しているはずなんだけど、どうにもピンとこない。それならばやはり一人ぼっちでかばんを抱きしめて、お冷やと一緒にちびちび飲んでいたいと思うのだった。